Q3−7
加害者の任意保険会社の担当者から、治療には健康保険を使って欲しいと言われているのですが。
A3−7
交通事故の被害者なのに、自分の健康保険を使わなければならないのはおかしいと言われる方も少なくありませんが、追突事故などの100%被害者であればともかく、そうでない限りは、健康保険を使うべきでしょう。
健康保険を使う保険診療だからと言って、医療機関は、健康保険を使わない自由診療よりも、手抜きをすることが許される訳ではありません。
保険診療と自由診療の違いは、主として、治療費の金額で、保険診療の場合、1点あたりの単価は10円と決まっていますが、自由診療の場合は、1点あたりの単価が決まっておらず、保険診療より相当高額になるのが通常です。
例えば、保険診療であれば100万円で済んだ治療費が、自由診療の場合には200万円などという金額になることもあります。
被害者の過失割合がそれ程大きくない場合には、通常、任意保険会社が治療費を支払うことになりますが、最終的には、過失割合に応じて、自らの治療の一部も、自ら負担しなければならないことになります(「過失相殺」といいます)。
例えば、過失割合が3割の場合、保険診療で100万円であれば30万円の自己負担で済むところが、自由診療で200万円であれば60万円の自己負担となります。
健康保険を使わない自由診療によって医療費が高額となることは、加害者のみならず、被害者にとっても、マイナスにしかならないのです。
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